私たちは、体調が悪いとか、腰が痛いなどと感じる時、肉体の調子を心配します。
でも、身体の本質を司っているのは、肉体ではありません。
昔から、心身一如などと言われるように、心と身体は一体となっています。
ただ、誤解を恐れずに言えば、人間の肉体は、心や精神の結果としてこの世に存在しているに過ぎません。
結果として、肉体が存在しているのですから、その結果にどれだけ手を加えても、根本的には何も変わりません。
割れた皿をボンドで補修しても、すぐに補修した部分は外れてしまいます。
結果ではなく、原因と過程にこそ見直すべき部分があるのです。
先ほど、心や精神と表現しましたが、もう少し深い説明をするならば、心や精神とは意識によって左右されます。
意識とは、真言密教で言うなれば、五感を超えた、第六感になります。
弘法大師は、さらに第七感に相当する末那識(まなしき)、第八感に相当する阿頼耶識(あらやしき)の存在を説きました。
ただ、ここでは難しい仏教の問答をする必要はありませんので、末那識や阿頼耶識と言葉ではなく、無意識と潜在意識という言葉を使います。
一般的に五感を超えた感覚のことを、顕在意識、無意識、潜在意識と表現します。
氷山に例えられる事が多いのですが、水面上にあるのが顕在意識、水面にあるのが無意識、水面下にあるのが潜在意識となります。
氷山は風が吹いたぐらいでは全く動きません。
なぜなら、その大部分が水面下にあり、水面上に多少の力が加わってもビクともしないのです。
しかし、水面や水面下の海流の影響を受ければ、簡単に動き出します。
人間も同じで、顕在意識にどんなに力を加えてもビクともしません
我々は水面下で何が起こっているかを知ることはできません。
水面下で、何かが起こった結果として、目に見える部分が動いた事を確認することしかできないのです。
しかし、野口整体では「無意識の動き」を観察すると言う事に重きを置いています。
結果として見えている世界から、見えていない無意識の動きを洞察し、その無意識やさらにその奥にある潜在意識に働きかけます。
そんな事が可能なのか?
そう思われるかも知れませんが、古来、先人たちは容易にそれを行ってきました。
現在でも、その手法は古武術の中に息づいています。
古武術では、相手の体に直接働きかけず、場を制し、相手を制します。
現代スポーツの格闘技などでも、身体が小さい日本人選手が、外国人選手を制する事があります。
おそらく彼らは、この古武術の極意をスポーツの中に活かしているのでしょう。
予め、お話ししておくと、スマホはITメーカが作りました。
お金は日本銀行や造幣局で作られました。
でも、ここでお話ししているのは、さらにその上の次元のお話です。
潜在意識が、持っていると言う現実を作り出したのです。
潜在意識の「スマホが欲しい」「お金が欲しい」と言う思いが、現実を作り出すスイッチとなるのです。
でも、多くの人は、自分でスイッチを入れる事ができません。
大衆の流れの中で、流されるようにスイッチを入れる事が多いのです。
でも、本当は自分でスイッチを入れる事ができるのです。
潜在意識にスイッチを入れるように働きかけるだけで、あなたの人生を自由自在に変える事ができます。
しかし、潜在意識は諸刃の剣でもあるのです。
なぜなら、先天性のものを除けば、潜在意識は病気すら作り出す事ができるのです。
誰もが、顕在意識では健康でいたいと思うものです。
しかし、潜在意識が病気になりたいと思うと、顕在意識に反して病気になります。
病気では、分かりにくいかもしれませんので「あがり症」の人で例えてみましょう。
仕事でプレゼンを成功させなければならない。
あがり症の人が、そんな局面に立たされたとします。
顕在意識では「絶対に成功させよう」「しっかりと準備したから大丈夫」と思うはずです。
しかし、潜在意識では「体調を崩せば誰かが代わってくれるかもしれない」と判断します。
すると、実際に腹痛を起こしたり、吐き気をもよおしたりします。
成功させよう。
しっかり頑張ろう。
そう思えば思うほど、本番では体が震え、頭の中が真っ白になります。
つまり、顕在意識と潜在意識では、相反する判断をする事が多いのです。
顕在意識では「もっと良い人生を送りたい」と思っていても、潜在意識では「これ以上は無理だ」と判断している人が非常に多いのです。
その結果、これまでも、これからも、同じ流れの人生が続いていくのです。
潜在意識は自分らしい人生を手に入れるための鍵です。
そう理解してください。
そして、少しずつ潜在意識の活用方法を身に付けて行くのです。
潜在意識は、簡単には書き換わりません。
その理由は、先ほどお話ししたように、簡単に書き換わってしまったら、病気すら簡単に作り出してしまうからです。
そこで活用方法を身に付けるために、三つのポイントに分けて学ぶ必要があります。
これらを段階を追って身に付ける必要がります。
そこで、この講座は河野智聖先生をお迎えして、三回シリーズでお伝えすることにいたしました。
河野先生は、人間の身体を「動き」から解析する「動体学」を提唱されています。
これは身体の動きを通して、潜在意識にアクセスする方法とも言えます。
この方法を習得すれば、容易にアクセスすることができない潜在意識に意図的にアクセスできるようになります。
非常に画期的な手法です。
この機会に、ぜひ河野先生から、多くの事を学んでください。
整体、武術を通じて日本人のカラダの使い方を研究し 心道・ 快気法 ・ ニコニコタッチなど新しい体技を考案。
神戸に「全生庵」道場を持ち、他に東京・大阪・名古屋・足助・沖縄で定期的に講座を開催している。
関西大学非常勤講師、新宿朝日カルチャー「身を整える武術」講師。
著書に「日本人力」「能に観る日本人力」「感覚で超えろ!」(BABジャパン)「心身を拓く整体」「緊急時の整体ハンドブック」(ちくま文庫)がある。